「SEO対策やってます」の中身を疑う
「SEO対策を頼んでいるが、何をしてくれているのか分からない」という相談を何度も受けてきました。報告書には「内部対策を実施」「コンテンツを最適化」と書いてある。でも、どのページのどの行を直したのかは書いていない。
SEOという言葉が悪いのだと思います。実体は魔法ではなく、サイトの決まった場所を、検索者の行動に合わせて直す作業の集まりです。この記事では、その「決まった場所」を5つに分解して、それぞれの直し方を作業レベルで書きます。読み終わったら、業者の報告書がどの箇所の話をしているのか(あるいはどこの話もしていないのか)が判定できるようになるはずです。
分解すると5箇所しかない
順位と問い合わせに影響する修正箇所は、実務ではほぼこの5つに集約されます。
| # | 箇所 | 何が決まるか | 効果が出るまで |
|---|---|---|---|
| 1 | タイトル | 検索結果でクリックされるか | 数日 |
| 2 | 見出し | ページが何の答えか検索エンジンに伝わるか | 数日〜数週間 |
| 3 | 内部リンク | どのページが重要かの伝達と回遊 | 数週間 |
| 4 | CV導線 | 来た人が問い合わせに進むか | 即日 |
| 5 | 表示速度 | 遅さで減点されないか | 数週間 |
順に、どこをどう直すのかを書きます。
1. タイトル — 直すのはHTMLの1行
ブラウザのタブと検索結果に出る文字です。直し方は3点だけです。
- 検索してほしい言葉を前方に置く(「会社名|サービス」ではなく「サービスの検索語|会社名」)
- 32字以内に収める(検索結果で切れる位置)
- ページごとに変える(全ページ同じタイトルは、全ページで機会を捨てています)
実測を1つ。別の記事(AIサイトの再現デモ)で書いた検証サイトでは、表示回数が出ているのにクリック率0.8%だったページのタイトルを、キーワード前方寄せに1回修正しただけで、順位が31位→11位(2日間)に動きました。作業時間は5分です。5箇所のうち、作業量に対する効きが一番大きいのがタイトルです。
2. 見出し — ページの目次が質問に答えているか
見出し(h2/h3)は、検索エンジンがページの内容を把握する骨格です。直し方は、見出しだけを抜き出して並べて読むこと。それが検索者の質問リストへの回答一覧になっているかを見ます。
「私たちの想い」「こだわり」のような、書き手側の見出しが並んでいたら直しどころです。検索者の質問(いくら?どうやって?自分の場合は?)を見出しにして、その下で答える構成に組み替えます。本文を書き直さなくても、見出しの付け替えと順番の入れ替えだけで伝わり方が変わります。
3. 内部リンク — 数ではなく文脈
内部リンクで直すのは2点です。
- 重要なページに、サイト内の各所から文脈の通るリンクが向いているか。 稼ぎたいページ(サービス・料金)への本文中リンクが0本なら、検索エンジンにもそのページの重要性が伝わりません
- 読み終わった位置に、次に読むべき1本があるか。 サイドバーの「関連記事10本」より、本文末尾の1本のほうが踏まれます
やってはいけないのは、全記事を機械的に相互リンクさせることです。リンクは「この文脈なら次はこれ」という編集判断で、数を増やす作業ではありません。
4. CV導線 — SEOの成果を回収する場所
厳密には検索順位の話ではありませんが、ここが壊れていると順位が上がっても売上は動かないので、実務では同じ改修に含めます。見る場所は3つです。
- 本文を読み終えた位置に問い合わせ・登録への道があるか
- 問い合わせページで入力必須項目が多すぎないか(電話番号必須・住所必須は離脱点です)
- 料金の目安がサイト内のどこかに実額で書いてあるか
5. 表示速度 — 遅すぎなければいい
速度は「速いほど順位が上がる」ではなく「遅すぎると足を引っ張られる」の性質です。PageSpeed Insightsでモバイルのスコアを見て、赤(50未満)なら対処、緑なら他の4箇所を優先します。よくある原因は撮影写真をそのまま載せている(1枚数MB)ケースで、画像の圧縮だけで解決することが多いです。
抽象論を作業に戻す見本
ここまでの分解を使うと、ふわっとした提案を作業に翻訳できます。見本をいくつか置いておきます。
| 業者の言葉 | 翻訳して確認すること |
|---|---|
| 「内部対策を実施します」 | 5箇所のどれを、どのページで直すのか |
| 「コンテンツSEOで集客します」 | どのキーワードで、既存ページを直すのか新規で書くのか |
| 「E-E-A-Tを強化します」 | 具体的に何を追加するのか(運営者情報?実績の記載?) |
| 「順位を保証します」 | どのキーワードの何位を、何の作業で実現するのか |
右側の質問に作業レベルで答えられない提案は、中身が特定できない契約になります。金額の大小より先に、ここを確認してください。
今日できる最小の一手
一番効率がいいのは、1章のタイトル確認です。自分のサイトで一番売上に近いページ(サービス・料金ページ)を開いて、タブの文字を見る。検索語が前方に入っていなければ、そのページのタイトルを「検索語|会社名」の形に直す。作業は1行、5分で終わります。
5箇所のうちどこから直すのが自分のサイトにとって最短かは、サイトによって違います。優先順位ごと特定してほしい場合はサイト診断(30,000円〜)で指示書にします。自分で全箇所を点検する場合のチェックリストが欲しい方は、メールかXのDMで「チェックリスト希望」と送ってください。