きれいに作れることと、客が来ることは別の技術
制作会社に頼んだサイトなのに問い合わせが来ない、という相談は珍しくありません。見せてもらうと、たいていサイト自体はきれいです。デザインも崩れていないし、スマホでもちゃんと表示される。それでも来ない。
これは制作会社の手抜きというより、分業の結果です。「きれいに作る」と「客が来るようにする」は別の技術で、多くの制作は前者だけを請けています。この記事では後者の中身を、実際に直したサイトのBefore/Afterで説明します。
対象は株式会社湊で請けた小規模事業者のサイト(業種は伏せますが、地域×専門サービス業です)。状態は次のとおりでした。
| 項目 | 改修前 |
|---|---|
| 公開からの期間 | 約2年 |
| 月間問い合わせ | 0件(電話含む) |
| 検索からの流入 | 月40セッション前後 |
| 見た目 | 問題なし(プロ制作) |
差が出るのは3点だけ
改修で手を入れたのは3系統、合計9箇所です。逆に言うと、色もロゴもレイアウトもほぼ触っていません。
1. 検索接点 — そもそも見つかる入口があるか
サイトは検索されて初めて存在します。このサイトのページタイトルは全ページ「サービス名|会社名」の形でした。社名を知っている人しか検索しない構成です。
直したのは、客が実際に検索する言葉をタイトルに入れること。トップは「(地域名)で(悩み)なら」の形に、サービスページは料金や症状の言葉を前方に入れました。加えて、検索されている悩みに答えるページが1枚もなかったので、問い合わせ前に客が必ず調べる質問3つに対応するページを新規で3枚作りました。
2. 導線 — 見た人が次に進む道があるか
改修前、問い合わせボタンはヘッダーに1つだけでした。ページを読み終えた位置(=一番気持ちが動いている場所)から、次の行動までの道がありません。
直したのは2箇所です。各ページの本文末尾に「このページを読んだ人が次に取る行動」を1つだけ置く。料金ページには「よくある質問」への、よくある質問ページには問い合わせへのリンクを置く。選択肢は増やしません。次の一歩を1つに絞って、置く場所を本文の終わりにする。これだけで内部の回遊が変わります。
3. 意図 — ページが検索者の質問に答えているか
一番直しにくく、一番効く箇所です。改修前の各ページは「自社が言いたいこと」(理念、こだわり、設備)で構成されていました。検索してくる人の質問は「いくらかかるか」「自分の場合はどうなるか」「頼むと何が起きるか」なのに、その答えがどのページにもありません。
料金ページを例にすると、改修前は「料金はお問い合わせください」の1行でした。これを、代表的な3パターンの実額と「金額が変わる条件」の表に差し替えました。問い合わせのハードルは「聞かないと分からない」ことそのものだからです。
Before/Afterの実測
改修は2週間で実施し、その後3か月の数字がこれです。
| 指標 | 改修前 | 3か月後 |
|---|---|---|
| 検索流入(月) | 約40 | 約210 |
| 主要キーワード順位 | 圏外 | 4位 |
| 月間問い合わせ | 0件 | 5件 |
補足すると、5件のうち3件は新規で作った「質問に答える3ページ」経由でした。2年間あったきれいなページではなく、改修で足した地味なページが仕事をしています。見た目の話が数字にほぼ関与していないことが、この案件の分かりやすいところです。
自分のサイトがどちら側かを見分ける方法
作っただけのサイトかどうかは、外から見て判定できます。次の3つを自分のサイトに当ててみてください。
- トップページのタイトルに、社名以外の検索語が入っているか。 ブラウザのタブに出ている文字がそれです。社名だけなら検索接点がありません
- ページを最後まで読んだ位置に、次の行動へのリンクがあるか。 スクロールして本文の終わりを見るだけで分かります
- 「料金」「自分の場合」の質問に、ページ内で実額・実例で答えているか。「お問い合わせください」で逃げていたら、そこが問い合わせの止まる場所です
3つとも「ない」なら、デザインがどれだけきれいでも「作っただけのサイト」側にいます。逆に、この3つを足す改修はリニューアルより桁1つ安く済みます。
今日できる最小の一手
自分のサイトの全ページのタイトル(タブに出る文字)を書き出してください。10ページなら10行、所要10分です。そのうち「社名・サービス名しか入っていない行」に印を付ける。印が半分を超えていたら、検索接点から直すのが最短です。
どのページから直すべきかの優先順位まで含めて見てほしい場合は、サイト診断(30,000円〜)で「どこを・なぜ・どう直すか」の指示書にして返します。まずは自分でやる場合のチェックリストが欲しい方は、メールかXのDMで「チェックリスト希望」と送ってください。